「組織開発の探求」という本を読みました。
仕事では組織作り、チーム作りなどの課題によく直面するため、組織開発という言葉はなんとなく耳にしたことがありました。
組織をよくするための理論かな、という程度の理解だったので、組織開発の理論を学習するための入門書としてとても参考になりました。
- 作者: 中原淳,中村和彦
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/10/18
- メディア: 単行本
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以下は気になったところのメモ。
氷山モデル p.46
見えている部分(問題事象)の背後には「より大きな」原因が隠されている。
それを見える化する。
経験を内省することで「学ぶ」 p.78 p.83
We don't learn from experience. We learn from reflection on our experience. (John Dewey)
我々は経験から学ぶのではなく、経験を内省することで学ぶのだ。(デューイ)
学習や変化の源泉を「経験」とし、変化につながるきっかけとして「ふりかえり」がある。
良い経験も大事だし、よい経験を学びに変えるにはふりかえりが必要。
フッサールの現象学「今-ここ(here and now)」 p.84
現在、起こっている出来事に意識を当て、考えていくこと
対称なのは「あの時、あそこで(there and then)」
組織開発では「今-ここ」を重視し、今からの変化をもたらす場を作る。
フッサールとデューイとフロイト p.95 p.103
- デューイ:
- 「経験」こそが「学習の源泉」である。
- 「経験」を対象化する「リフレクション」から学び、変化することができる
「今-ここ」に焦点をあてる。自明なもの、意識していないものも見える化する。それらをふりかえることで学び、改善できる。
マネジリアル・グリッド p.185
マネージャーの行動スタイルを「人間に対する関心」と「業績に関する関心」の2軸で考えたもの。
組織の効果性と健全性 p.193
ベックバードによる効果性と健全性の定義
<効果性>
- 組織全体、重要な部署・個人が、それぞれの目標達成に向けて、目標と計画に従って業務を行う。
- (組織や職場の)形は機能の従う(問題、課題、プロジェクトによって、どのような人材を組織化するかが決まる)
- 情報源が組織図のどこにあっても、情報源によって/情報源に近いところによって決定がなされる
- 給与の仕組みは、たとえば、マネージャーが以下のことに対して報酬が支払われる(あるいは罰せられる)
- 短期の利益、またはパフォーマンス
- 部下の成長と育成
- 将来性のある仕事をするグループをつくること
- タテとヨコのコミュニケーションは、比較的歪められていない。人々は全体的にオープンで向き合い、気持ちも含めた事実を共有している。
- 個人やグループの間で、勝つか負けるかといった関わりはほとんどない。葛藤や葛藤が生じる状況について、解決すべき問題として、すべてのレベルで常に取り組まれている。
- 課題やプロジェクトについての「葛藤(アイデアの衝突)」がある。そして、対人間のいざこざの衝突にはエネルギーが費やされない。それはすでに解消されているからである。
- 組織とその部分は、お互いに関わり合い、環境とも関わっている。組織は「オープンシステム」になっている。
- 共有された価値観があり、マネジメントはその価値観を支持する戦略を取っている。個人や職場は、それぞれの真摯さと独自性をお互いに助け合いながら維持している。
- 組織とそのメンバーは「アクションリサーチ(行動して-考える)」を行っている。個人やグループは自らの経験から学ぶことができるように、フィードバックのメカニズムが築かれている。
<健全性>
- 合理的に明確で、受け入れ可能で、達成できる、適切な目標がある。
- コミュニケーションの流れが比較的はっきりしている。
- 権力が適切に均衡している。
- リソースの活用、そして、個人の特賞と役割に求められることがうまく一致している。
- 凝集性と組織のアイデンティティが十分にあり、人々がそれに対して積極的につながりたいと感じるくらいの明瞭さと魅力があること。
- モラール(士気)が高い。成長と変革のためには、健全な組織は革新性、主体性、適応性、問題解決力を持っている。
「対人間のいざこざの衝突にはエネルギーが費やされない。それはすでに解消されているからである。」は組織が嫌になる要因として大きい印象がある。
色々と耳が痛い定義...。
X理論とY理論 p.203
X理論は、人は怠けてしまうもので命令・監督をし、目標に達成しない場合には罰を与えることが必要と考える。
Y理論は、人は自己実現をしたい目標のためには自己統制を発揮して主体的に行動すると考える。
組織開発はY理論をベースとしている。
組織開発をする上での倫理観 p.264
①参加すること:自分たちの未来に参加・関与すること
②チーム(職場)を重視すること:組織変革は職場から
③発達・学習を信じること:最も重要な価値観
④人間を「全人格」で見ること(職業<カテゴリー>で見ない/相互尊重/違いを認める)
⑤対話を重んじること
⑥真摯さ、オープンさ、信頼を重んじること
組織開発を行う上で、トレーナー/ファシリテーターは価値観・倫理を重視しなければならない。
自己防御化ルーチン p.284
「組織の欠陥」を見える化は、自分達の失敗をさらけだすことである。
そのため失敗を出すことに消極的になったり、言い逃れをしてしまうことになってしまう。
これが自己防衛化ルーチン。
自己防衛化ルーチンにとらわれたメンバーは問題を隠蔽するようになったり、責任を取ろうとせずにいつまでも改善ができない。
感想
今まで手にしてきたマネジメントやチームビルディングの源流の1つに「組織開発」があることが理解できました。
アジャイル開発でよく用いられるミーティングやワークショップは組織開発の諸々を理解した上で実施するとより効果がありそうです。
(というか今までわからないままやったいたのが少し恥ずかしいくらいです)
また、本に書いてあったように組織開発の知識はマネージャーの大きな武器になるものだと思いました。
今後はもう少し追っていこうと思います。