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〜昨日の今日とは一味二味違うBlog〜

「失敗の本質」の感想

ちょこちょこと読み進めていた「失敗の本質」をようやく読了。
感想というか、印象に残ったところをメモ。

組織の風土について

日本軍の戦略策定が戦況に対応できなかったのは、論理的な議論ができない組織の制度と風土に原因がある。(p.288)

官僚制(垂直的階層分化)のはずが、根回しと腹の探り合いによる意思決定が行われていた。(p.313)

日本軍は「集団主義」個人の特性を認めず、組織への奉仕と没入を最高の価値基準とする(p.315)

図上演習での問題や改善点を議論せず、(士気が下がることを恐れて)検証を怠った。
また作戦終了後の研究会も開催しなかった。(p.329)

日本軍は目標と問題構造を所与ないしは一定とした上で、最適解を選び出す学習プロセス(シングルループ学習)だった。
本来あるべきはダブルループ学習である。(p.332)

「適応は適応能力を締め出す」(p.375)

山本長官のように、権力を握った者のみが、イノベーションを実現できたのである。ボトムアップによるイノベーションは困難であった。(p.386)

官僚組織にも関わらず、根回しや奉仕の精神が優先されていて、意思決定に大きなコストが掛かっていた。
人間関係の悪化を恐れ、失敗時の検証を怠ったことにより、外部環境の変化へ適切に対応できなかった。と。

戦略の不徹底

戦術の失敗は戦闘で補うことはできず、戦略の失敗は戦術で補うことはできない。(p.291)

戦略>作戦>戦術 なので、大きな方向性がズレたままでは、現場でいくら頑張っても対応には限界がある。

組織のあるべき姿とは

ダイナミックな環境に有効に適応している組織は、組織内の機能をより分化させると同時、より強力な統合を達成しなければならい。(p.358)

組織の戦略とは外部環境が生み出す機会や脅威に適合するように、組織がその資源を蓄積・展開することである。
そのためには、まず組織はその戦略的使命を定義しなければいけない。
環境要因のなかにいかなる機会・脅威が潜在的に存在するかを主体的に洞察し、敵と味方の強み、弱みを相対的に分析し、いかなる方向と領域で資源をもっとも効率的に展開するかについての基本的なデザインを描かなくてはいけない。
次に、デザインに基づき必要な資源を蓄積し、それを運用する人を練磨する。(p.344)

環境が複雑になればなるほど、その複雑性に対応するため組織はよりいっそう「分化」せざるを得ない。問題はその「分化」をいかにして「統合」するかである。(p.359)

いかに客観的に自組織と外部環境を観て、リソースの配分を変更できるか。(リーンスタートアップでいう「ピボット」だ)
対応するための「分化」は結構だが、それを統合するデザインがないと強い組織にはならないのでは。


今の僕たちの組織はどうか

戦後の企業経営で革新的であった人々も、ほぼ40年を経た今日、年老いたのである。
戦前の日本軍同様、長老体制が定着しつつあるのではないだろうか。(p.400)

「長老体制」って言葉はインパクトありますね。今の日本のある程度大きな企業は、ほとんどが長老体制じゃないでしょうか。
いい組織となるためには、グランドデザインをしっかり描きつつ、過去の成功体験にとらわれず、常に変化を続けるということが大事なんだと改めて思いました。

「上手くいってる」と思った時点で失敗が始まっている。精進あるのみです。